平成18年7月28日付けで、加曽利町所在の環状貝塚(直径120m)、花輪(はなわ)貝塚が国の史跡に指定されました。
近年、一般に、企業の社会的責任(Corporate Social Responsibility)ということがたびたび言及されるようになりましたが、いぜん文化財に関しては、「企業の社会的責任」のあってなきがごとき事例がしばしば見られることは否定できません。しかるに花輪貝塚の土地所有者・企業、出光興産は、花輪貝塚の学術的文化的価値を知るや、当初の宅地造成の方針を転じ、私有地のまま国史跡指定に応じました。まさに快挙。ここに社会的責任を果たす企業のみごとな模範があるといえましょう。出光興産にたいしおおいなる敬意を表するものです。
出光興産の英断に謝し、花輪貝塚の国史跡指定を記念して、学習会&遺跡めぐりを企画した次第です。
さて千葉市の、都川中流域から葭川(よしかわ)流域は、千葉貝塚(貝塚町貝塚群)を中心に加曽利貝塚、東寺山貝塚、廿五里南北貝塚など直径100mを越える巨大な環状貝塚がとくに密集する地域として有名ですが、今般史跡指定された花輪貝塚は、確認調査によれば、これらの環状貝塚の中でも特異な貝塚であるということです。花輪貝塚のかたるものはなにか。どのような考古学的意義をもった貝塚なのか。早稲田大学先史考古学研究所の鈴木正博先生にお話しいただきます。先生には、今年はじめに、有吉北貝塚、有吉南貝塚など村田川流域の貝塚について講義していただいていますが、そこでのお話との関連も興味深いところです。午後は、花輪貝塚周辺を歩き、現地の地形を確認し関係遺跡を見学します。 |