本佐倉
−酒々井町厳島山麓より−


 

厳島山(物見跡)麓からの景観 

 

 

         

●本佐倉城(千葉県印旛郡酒々井町、一部佐倉市)

 もとさくらじょう。国指定史跡。戦国期千葉宗家の居城である。空撮 本佐倉城周辺 

 1455年、内紛により千葉嫡流家は断絶し、結局、庶流の岩橋輔胤(嫡流家最後の当主胤直の従兄弟または再従兄弟 -1492)が千葉宗家を継ぐこととなった。輔胤はそれまでの千葉宗家の拠点、千葉城には拠らず、より内陸の平山城にしばらく滞在したのち、「長崎」(寺崎城か)をへて、本佐倉城に拠点を移した。『千学集』には「屋方様千葉より平山へ御越し、又長崎へ移らせられ、それより佐倉へ移らせる。文明十五年[1484年]甲辰六月八日、佐倉の地を取らせらる。」とあり、本佐倉城の築城は文明年間(1469〜1486年)のことと見られる。以後、1590年、豊臣秀吉により千葉宗家が滅ぼされるまで本佐倉城は戦国期の千葉氏(佐倉千葉氏9代)の居城であった。→千葉市歴史年表−幕張・武石関係

 本佐倉城の範囲は東西約700m、南北約800m、面積約35万u。西・南に広大な外郭を伴い、さらに北は「水の大動脈」(市村高男氏)ともいうべき印旛浦の湊である浜宿湊、南は中宿・下宿など東西に走る古街道「下総道」(遠山成一氏)沿いに形成されていた町場を取り込み、いわゆる惣構えの構造をとる。近年の発掘調査により、惣構えの周囲をなす空堀の存在が確認されつつある。惣構えをふくむ本佐倉城の規模は、なお不明なところがおおいが、すくなくとも東西1km、南北1.6kmに及ぶと見てよいだろう。防衛ラインの要所には花輪台城、長勝寺脇館、北大堀御殿山館など城館が配置されていた。写真左の「右京屋敷」「肥前屋敷」は、誰であるか不明であるが重臣の屋敷と考えられる。空撮 本佐倉城周辺 

 現在、印旛沼(中央排水路)は京成電鉄本線の北約750mのところを流れるが、かつての(少なくとも明治期の)印旛沼(印旛浦)は現在(目測20〜30m)よりも幅が広く500mはあった。主郭直下の水田地帯から印旛沼には水路が通じている。この水路には昭和30年代圃場整理が行われるまでは「小別当橋」、「下野橋」と呼ばれた橋がかけられていた。地元の方のお話によると、下野橋の近くの水路には泳いで遊べるほどのスペースがあり、実際、子どものとき泳いで遊んでいたという。本佐倉城は、「水の大動脈」たる印旛浦に至る物資の出入り口として北西端に浜宿湊を取りこんでいたが、別に直接内郭直下から至る水のルートも設けられていたかもしれない。

印旛沼

現、中央排水路、かつての印旛浦。本佐倉城北1km。

小別当橋跡

 このあたりか。圃場整理によって水路は直線的に変えられたが、以前は前方のハウス付近で大きくカーブしていた。小別当橋の存在は、地元の方はたしかに記憶しておられたが、正確な場所は「わからなくなっちまった」とのことである。なお右前方の山は厳島山(物見跡)であり、印旛沼は写真左外、本佐倉城は写真右外。

下野橋跡

 画面中央、左から右へ水路が通っており、道路がまたぐ部分は下野橋の後継者である。ここも圃場整理により水路の位置は変わった。もともとの下野橋はもう少し前方、すなわち本佐倉城よりの地点にあった、とのことである。前方の山は城山(主郭)。

 

(参考文献)

 「戦国時代の本佐倉城を考える」(本佐倉城跡国指定5周年記念講演・シンポジウム レジュメ)酒々井町・佐倉市主催、千葉県教育委員会・千葉城郭研究会後援、2003年10月19日

 

1/25,000地形図:

酒々井(北西)

 

国土地理院の試験運用ページ。地形図閲覧システムの利用規定に注意。閲覧以外の利用はできません。

本佐倉城は「酒々井町」の文字の左の台地。その主郭・字「城山」は、「根古屋」の「屋」の字の右。北緯35度43分41秒,東経140度15分38秒

向根古屋城は本佐倉城の南対岸の台地。

北大堀御殿山館は「本佐倉」の文字の下、本佐倉城の惣構えの南西端に位置する。北緯35度43分9秒,東経140度15分11秒。

長勝寺脇館は「清光寺」の南。北緯35度43分7秒,東経140度15分30秒。

右京屋敷は「下宿」の文字の舌状台地上。

肥前屋敷は右京屋敷北の、酒々井小学校のある舌状台地上。

浜宿湊は「佐倉市」の文字の右。北緯35度44分4秒,東経140度15分20秒付近。

空撮 本佐倉城周辺 
(1979年空撮)
(c)国土画像情報(カラー空中写真) 国土交通省 

 

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