2008年10月15日

さいたま市議会議員 岡 真智子 様

「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」実行委員会

さいたま市史跡・馬場小室山遺跡の今後を考える

馬場小室山遺跡は市民の保存運動により、2005年3月29日にさいたま市指定文化財史跡に指定されましたが、現状は立ち入り禁止で、しかも下草刈や小木の切り取りが定期的に行なわれておらず、周辺住民や史跡を訪れる市民にとっては環境面や安全面においても不快な印象を与えています。

「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」では馬場小室山遺跡研究会と共同して馬場小室山遺跡の史跡としての問題点を明らかにするとともに、地域アメニティの向上という視点から将来に向けての持続可能性について、これまで2004年12月26日に第1回を実施して以来、実に40回にわたるワークショップで実験・検証しつつ、毎年10月に「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」にてジオラマなどによって市民にその成果を分かりやすく示すなど活用構想を策定してきました。

そこで2004年12月定例にて教育長が約束した検討や研究の成果を是非とも情報公開していただき、その上で地域住民のこれまでの実践成果を受けて本格的な対応をご検討いただきたいと思います。

つきましては2008年12月定例にて教育委員会の約束をフォローいただきたく、以下の通り、主な問題点と市民によるこれまでの検討結果について骨子を纏めました。

 

                   −

1.馬場小室山遺跡を歴史(史跡)公園にしましょう!

【基本方針】

地域のアメニティ向上を図るため、馬場小室山遺跡を歴史(史跡)公園として有効活用しましょう。

緑地公園(史跡公園)として、定期的に下草刈り+小木の切り取りを行います。日の当たる公園にしませんと安全性が保てませんので、市民にとって不快な場所になってしまいます。現状を歴史(史跡)公園らしく整備し、緑の大木に名称を付し、土地の起伏の意味を解説し、壊された部分も含めた遺跡全体の説明看板をつくりましょう。

 

【「活用検討委員会」の設置】

2004年の教育長の答弁を受け、市民は「活用検討委員会」を設置し、後述する構想提案を纏めました。教育委員会でも検討・研究を行なってきたはずですから、次のステップは両者が双方の構想を持ち寄って、行政と市民と学術ボランティアによる共同作業として纏め上げる、より大きなテーブルにつくことではないでしょうか。

 

【構想提案の骨子】

(1)ジオラマによる遺跡全体のイメージ復元と100年後の歴史(史跡)公園の姿の一体化

現状の史跡部分約4,000平米は縄文時代遺跡全体の25%程度に過ぎませんので、遺跡のイメージをつかむことは困難です。そこで5基の「土塚」が環状に巡る集落を1/300でジオラマに復元しました。遺跡全体のイメージを理解するために歴史(史跡)公園に設置しましょう。そして、100年後には史跡範囲を遺跡本来の姿になるように周辺も指定してジオラマのように整備しましょう。

 

(2)歴史(史跡)公園で定期的に市民が交流するイベントの推進

   春の感謝祭>:5/4にクリーンアップ大作戦。遺跡に感謝して清掃活動を行ないます。

   夏の熱中祭>:8月に子供達をまじえて縄文時代の貝輪や土製耳飾などいろいろな出土遺物を製作したり、
               縄文土器をおぼえたり、体験学習を行います。

   秋の収穫祭>:10月には熱中祭で製作した作品の展示や「第51号土壙」の謎に迫る催しを行ないます。

               1/25のジオラマで「第51号土壙」を復元し、イメージを膨らませます。
               縄文ミュージックによる野外コンサートも行ないます。

   <冬の健康祭>:遺跡を観察するのにもっとも適した季節は冬です。
               2月には馬場小室山遺跡を中心にどのような遺跡が周辺にあるのか、探検します。
              「みぬまっぷ」というガイドブックで三室周辺の遺跡銀座を堪能します。

 

2.馬場小室山遺跡から出土した資料を公開しましょう!

【基本方針】

馬場小室山遺跡からは32次にわたる調査で大量の資料が出土しています。担当者を除くならば、考古学研究者も含め、市民もその実際を見た人はいないのではないでしょうか。特に大形の「第51土壙」からは重要文化財級の人面付土器と角底土器など38個体が出土しており、第32次調査でも大形の土壙から多数の土器群が埋納された状態で出土しています。国史跡級の遺跡からは重要文化財級の資料が検出され、さいたま市の象徴でもあります。

しかし残念ながら政令市にもかかわらず、さいたま市には市立博物館や土器の館、浦和学物館など小さな施設ばかりであり、見沼のめぐみである馬場小室山遺跡から出土した大量の資料を保管・活用できるような、そして歴史(史跡)公園における地域アメニティを推進するような自然系と歴史系、考古系を併せた中核施設が必要です。

さいたま市民にとって地域のルーツの素晴らしさを知ることは、将来に向けて誇れることでもあります。

 

【「将来の文化財を考える検討委員会」の設置】

現在は整理室を中心とした施設や分館などのそれぞれの特徴を生かした位置づけなどで小さい規模の施設でも何とか凌いでいるようですが、大きな問題点は発掘された資料は馬場小室山遺跡だけではなく、多くの遺跡が発掘され、その資料が活用されないままになっていることです。考古資料は活用されることでその価値が明らかになります。土の中から収蔵庫に移っただけでは意味がありません。馬場小室山遺跡の収蔵資料の活用を考えることを契機としてさいたま市全体の将来の文化財について検討する時期にきているのではないでしょうか。

また数年後の職員の定年を考えれば、文化財保護課や博物館の学芸員の大幅な定員増加も必要になると思いますが、「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」のような自立した市民がサポートすれば、指定管理者制度への移行も質的に可能では無いでしょうか。

分散して小さい施設で凌いでいる現状では質の高い市民サービスに支障が出るだけでなく、管理業務を行なう人員にも無駄が多くあり、効率も悪いです。馬場小室山遺跡の大量の資料の活用を契機として、さいたま市全体に問題を発展させ、より高度により効率的に文化財保護を推進するために、「将来の文化財を考える検討委員会」を設置して、地域アメニティの向上を目指すべきだと思います。

 

【構想提案の骨子】

埼玉県はさきたま古墳群を中心として博物館の充実とリストラを推進しています。

さいたま市には「見沼田んぼ」があり、国史跡「見沼通船掘り」もあります。そして重要なのはその周辺に縄文時代の遺跡が密集しているという地域的な特徴です。

埼玉県が古墳時代に注目するのに対し、さいたま市はそのルーツとなる縄文時代をクローズアップして、海だった頃の貝塚から「見沼田んぼ」に至る変遷を環境をキーワードとして総合的にアプローチすることが望まれます。それには見沼について自然環境の変動と人類活動の歴史が理解できるような、自然系と歴史系、考古系を併せた、数千u程度のまとまった規模をもった「見沼文化博物館」(仮称)が必要です。

県立博物館規模では大きすぎて無駄が多いです。県立博物館は市民のためというよりも、極論するとそこの職員の研究のための施設という、市民中心の考え方とは性格に大きな違いがあるようです。さいたま市の将来のためにはグローバルに考え、かつ地域に根ざした市民のための「見沼文化博物館」(仮称)が必要です。

                                            以 上

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