2008−10−13(祝・月) 於:三室公民館

参加各位                                             「馬場小室山遺跡研究会」事務局

馬場小室山遺跡研究会」第40回ワークショップ

パブリック・アーケオロジーの極意 : 「遺跡のサイエンスとアート、そして未来へのマネジメント」】

( 馬場小室山遺跡を中核とした「見沼文化」の解明と「複合領域における価値連鎖」の推進 )

1.【実習と研究】貝輪の製作実験(第3回) :縄文時代における貝輪の出現が新たな研究テーマ!

-1.浜辺における持ち帰り用作業と集落における製作の二者(海辺から遠い集落の場合)

・これまで2回の製作実験から見えてきたのは熟練度による工程別分業です。採集から穿孔打割作業までは単純作業のため、熟練を要するのは孔拡張打割作業です。ここからが効率面から分業になり、多量に採集する場合にはできるだけ軽くする必要があります。浜辺で穿孔打割作業までは行なっていたのではないでしょうか。

・孔拡張打割作業は貝輪の形態に依存しますので、ここが実質的な貝輪製作です。では、研磨工程はどうか。

-2.阿部芳郎氏から貝輪研磨ノウハウ伝授の件(第3回目の製作実験目的)

・紙やすりでは効率が悪く、急遽阿部芳郎氏から以下のコメントを頂きました。今回の製作実験の目的です。

・「やや重めのEXパックが届くと思いますが、砥石の材料の銚子産の砂岩です。また別に2個は私が使用している参考品を入れておきますので、是非使ってみてください(これのみはフォーラムの後でお返しください)。

コツは@貝と砥石の両方を水によく浸すこと。A研磨の際に貝粉と砥石から遊離した砂粒がパテ状に付着しますが、洗い落とさないで、つづけて研磨することです。研磨剤となって作用しますので。Bなるべく同一の面(端部)を利用して、砥石の面に窪み(線状の)を作ってしまうと、かなり効率的です。あとは溝状に広がるように貝の内側を研磨すればうまくゆきますので。」

2.【今後の研究二大テーマ】(1)東京湾岸における「製塩土器」/(2)「見沼文化」と貝怩フ形成

・馬場小室山遺跡の研究は晩期「安行式文化」における「環堤土塚」から開始し、「第51号土壙」の重要性を中核とした「ムロさま」の時代を追求することを主要なテーマとして推進してきました。また、「環堤土塚」形成直前には「加曽利B式」の集落が形成され、突起土偶「オムちゃん」の生業として漆工芸がクローズアップされ、「半精製土器様式」の研究と併せて塗漆土器の系統からも大宮台地南部という地域性が浮かび上がりました。

・一方、馬場小室山遺跡は晩期に貝怩形成しておりませんが、晩期の特徴として「製塩土器」が出土します。これまで「製塩土器」については対象となる「製塩遺跡」の発見・検証を中心とする成果から、古鬼怒湾における発達が追及されてきたのは周知の通りです。逆に東京湾は「製塩遺跡」の発見が報告されないためか、「製塩土器」の研究が極めて遅れていますが、西ヶ原貝塚の調査で阿部芳郎氏が行なった問題意識が唯一の研究成果でしょう。大変参考になる研究ですが、「土器製塩」研究の遅れと相俟ってあまり注目されていません。

・ここに馬場小室山遺跡と西ヶ原遺跡の「製塩土器」について比較研究する視点が必然化され、「製塩遺跡」の追及という共通の課題が提示されました。要するに海との交流が新たな視点となったわけですが、これまでのワークショップでは山内清男の潮汐表から荒川の逆流を縄文時代にどのように活用したかを検討しました。

・下宅部遺跡における縄文時代後期の「印象化石」の検出は、武蔵野台地内陸からも海への接近が頻繁なことを措定させます。ここに馬場小室山遺跡の「製塩土器」をどのように考えるべきか、新たな視点が生まれました。馬場小室山遺跡は近隣に汽水域環境があり、水辺ばかりでなく、河口を出た海辺での活動も活発である可能性が高く、東京湾岸における「製塩土器」研究視点から当該地域の晩期集落を新たに見直したいと思います。

馬場小室山遺跡の貝恁`成も課題です。「製塩土器」と併せ、縄文時代早前期の貝塚を今後の展開対象とします。「「見沼文化」と貝怩フ形成」というテーマで温暖化への縄文人の環境適用について研究を深めます

3.【マネジメント】第5回「馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラム」について

-1.冊子の特徴  <<<記念すべき第1回のコピー配布資料も抜粋して組み込みました!>>>

・第1回に配布したコピー資料から記録として留めるべき内容を再録しました。故橋本敏朗氏の文章も再録しましたが、実行委員会監事に相応しい格調高い内容ですので、今回の冊子は個人を偲ぶ良い機会にもなります。

-2.市民交流会<<<馬場小室山遺跡をもっとよく知ろう!>>>の展示室(214u)企画の検討

・展示室1(馬場小室山遺跡の徹底紹介)と展示室2(「貝輪工房」への誘い)に仕切ります。展示室1の中は各コーナー(ジオラマ・コーナー(担当:井山紘文氏)、採集資料展示コーナー、橋本敏朗氏写真コーナー(担当:蕨俊夫氏)、土製耳飾コーナー(担当:杉田秀一氏)など)ごとに具体的な配置などを決定します。   以 上

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