2008−08−10(日) 於:三室公民館

参加各位                                             「馬場小室山遺跡研究会」事務局

馬場小室山遺跡研究会」第38回ワークショップ

パブリック・アーケオロジーの極意 : 「遺跡のサイエンスとアート、そして未来へのマネジメント」】

( 馬場小室山遺跡を中核とした「見沼文化」の解明と「複合領域における価値連鎖」の推進 )

1.【学習と実習】第1回貝輪の製作実験について

1-1.市民フォーラム準備の緊急研修会の実施 : 打ち上げ貝の採集と採集ポイントの確認

・4月と5月の緊急研修会では、阿部芳郎氏の鴨川駅前ポイントと忍澤成視氏の浜荻海岸ポイントを中心に、房総半島南端の野島崎から九十九里浜手前の大原まで打ち上げ貝の採集ポイントを確認した。砂浜を発掘するには至らないが、採集ポイントごとに貝類相毎の濃淡は異なっている。縄文人には台風大好き人間がいた!

1-2. 貝輪製作参考文献の二者 : これらを習得し、さらに効率的で高度な製作法を発見しよう!

・【砂床緩衝技法】:内外面とも打ち割りの床部に浜辺の砂を用い、敲打点以外への衝撃を緩和させる方法。

忍澤成視(2001)『発掘ってなあに 第2号 貝恤ム 別冊 なるみちゃんの貝輪教室』、(財)市原市文化財センター

両極敲打技法】:内面からの粗割りは掌で、割り口の拡張は外面に礫を当て両極から敲打・調整を図る方法。

阿部芳郎(2007)「内陸地域における貝輪生産とその意味―貝輪づくりと縄文後期の地域社会―」『考古学集刊』第3号

2.【研究活動】「みぬまっぷ」考古探訪の検討 : 「見沼文化」の特徴を探る!

2-1.馬場小室山遺跡における晩期の土製品と石製品と「見沼文化」

・「第51号土壙」から15点の土製耳飾が検出されている。その中で「ムロさま」と関係する晩期中葉くらいの例は9点あり、「ムロさま」の頃には透彫耳飾が流行。それでも「ムロさま」と「千網谷戸型耳飾」とは交流せず。

・「第51号土壙」を付属させる「1号土塚」では土版土偶が検出されている。柳田博之氏によれば、2004年調査の「2号土塚」では「土偶約30点、土版15点、土製耳飾約100点、石棒・石剣約50点、独鈷石2点、石製装飾品3点」と概数が報告されており、土製耳飾の多数出土は定着している。

・ハレの舞台装置として石棒・石剣・独鈷石は欠かせない。真福寺貝では住居址から横一列に並んで石剣が検出されており、そのうちに1点は北奥由来の「亀ヶ岡式」の系統であった。

2-2.馬場小室山遺跡における晩期の特徴ある土器群と「見沼文化」

・「第51号土壙」の小形土器に注目すると、@人面文土器、A角底土器、B注口付土器などの特徴ある土器が埋納されており、ハレの器として相応しい形態である。他地点では土偶付土器があり、顔面を復元予定!

・縄文時代晩期には「亀ヶ岡式」の強い影響を受けるが、他方で「滋賀里式」や「橿原式」の浅鉢文様帯の影響も看取される。それらを西日本系浅鉢と呼ぶならば、馬場小室山遺跡との交流は拠点的に突出している。

2-3.馬場小室山遺跡の「製塩土器」はどこの浜辺で使用したか?―「見沼文化」の本質―

・第3回の市民フォーラムで常松成人氏に紹介頂いた「製塩土器」に注目したい。馬場小室山遺跡の住民が塩づくりを行うとすれば、「製塩遺跡」はどこにあるのだろうか?いよいよ、「見沼文化」の本質に触れる時が来た。

・北区中里低地遺跡から波打ち際の流木や自然貝層が検出、中期の中里貝塚もある。袋低地遺跡では後晩期「安行式」が多数検出されたが「製塩土器」は未明。見沼は汽水域で荒川へ注ぎ、以南の大宮台地南端は広大なラグーン地帯で微高地が固定せず。固定化した砂浜は流路からも中里貝塚周辺より下流方面が有力。

・川口市石神貝塚・安行猿貝貝塚・宮合貝怐E精進場貝怩焉u安行式」はヤマトシジミ主体、中川低地を挟んだ松戸市貝の花貝怩燗ッ様であり、馬場小室山遺跡の浜辺とは北区側波蝕崖沿いの荒川河口周辺か?

3.【学習と応用】馬場小室山遺跡における「漆アグロフォレストリ」環境のモデル化検討

鈴木三男・能城修一モデル(1997)】「縄文時代の森林植生の復元と木材資源の利用」『第四紀研究』36

・「居住域を中心として、その周囲に疎林草原二次林自然林が同心円状に広がり、燃料材は居住域付近で、生活用等の用材は二次林までの範囲で、建築・土木材は自然林にいたる広い地域で求めていた」。

赤山陣屋跡遺跡で検出された後期末葉〜晩期中葉の土木材の構成は、クリ(45.9%)、トネリコ属(13%)、ヤマグワ(6.9%)、モミ属・カヤ・カエデ属・ウルシ・コナラ節・クヌギ節などは各5%以下。因みに後期前葉の土木材の構成はクリ(33.3%)コナラ節(25.4%)、トネリコ属(17.1%)、カエデ属・カヤなどは4%以下。

・下宅部遺跡では木杭260本、竹杭1,112本が検出。竹杭は直径1.5〜2cm。竹林と筍も忘れずに。以 上

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