2007−9−24(月・祝) 於:三室公民館

参加各位                                           「馬場小室山遺跡研究会」事務局

馬場小室山遺跡研究会」第30回ワークショップ

パブリック・アーケオロジーの極意 : 「遺跡のサイエンスとアート、そして未来へのマネジメント」】

(馬場小室山遺跡を中核とした「見沼文化」と パブリック・アーケオロジー2008 の土台構築)

 

1.【マネジメント】第4回『馬場小室山遺跡に学ぶ市民フォーラムー「見沼文化」と漆工芸ー』の検討

1-1.【学習と活用検討】:「馬場小室山第2遺跡」の保護資料―埋蔵文化財保護行政の意識改革にむけて―

・馬場小室山遺跡の未調査地区の残存埋蔵文化財が遺跡の北方の芝川に投棄され続けていたことについては2005年3月にさいたま市教育委員会文化財保護課に届け、善処するよう要望したが、その後の進展は見られなかった。本会では3箇所に投棄された事実を確認したが、内2箇所は沖積地の耕作土として現在でも残存しているが、残りの1箇所は壮大な盛土として駐留後、他所に移転し、既にもぬけのカラの状態である。大量の縄文時代中期から後晩期の土器群がどこかの知らぬ土地で拾われることになり、その扱いについては混乱が生じる可能性が高い。安全対策面で再度注意を促しておきたい。

  ・市民フォーラムでは行政当局による文化財保護の指導が是正されるべく要望してきた経緯があり、「馬場小室山遺跡第2遺跡」を発見した当時の保護資料をその象徴として活用して行きたい。

1-2.【活用検討と準備】:無編集の「映像考古学」について―「市民交流会」で疑似体験する考古学について―

・浅野光彦氏を進めている「映像考古学」の素材そのものを展示室で公開し、市民の方と一緒に考古学の現場にいる雰囲気を感じてもらうための工夫を検討したい。

1-3.【活用検討と準備】:「オムちゃん」の新バージョン−「オムちゃん」が漆工芸のスペシャリストに成長しました―

・井山真里さんが「オムちゃん」(「加曽利B1式突起土偶」)を成長させました。第3回及び第4回の両者を比較し、どこがどのように成長したか、違いに気を留め、理解を新たにして下さい。

 

2.【重点研究テーマ】馬場小室山遺跡から展望する縄文時代後晩期の集落と地域(その3)

2-1.【研究と学習】:台方花輪貝塚を理解するための荒海貝塚資料―第29回ワークショップの補足説明―

・奥東京湾の「見沼文化」(さいたま市)と印旛沼周辺の考古文化を比較することにより、地域の考古文化がどのような形成過程を経て分節されているのか、理解を新たにする必要があります。

・台方花輪貝塚の晩期終末から弥生時代前期の土器群は「長沼文化」(成田市)からの影響が強く、印旛沼独自の考古文化から変遷した可能性は希薄である。つまり、印旛沼という地理的単元は、少なくとも縄文時代中期以降は複数の「土器型式」が交錯している状況と理解しなければならず、先ずは「土器型式」の追求を優先して推進しなければ、地域文化の解明には程遠い状況であろう。

・そのためにも「長沼文化」としての「荒海式」(背景はいわき地方の沿岸文化)について理解を深めたい。

 

2-2.【研究と学習】:「加曽利B2式」の形成と「細分布系列」(2)―「半精製土器様式」から観た「細別」―

   ・馬場小室山遺跡研究会では、1980年に提案した「加曽利B1式武相系列」の研究を再開し、特に「加曽利B1-2式」に発達する「半精製土器様式」の在り方に注目しており、それらの分析から「細分布系列」を導出し、その形成プロセスと振る舞いについて研究してきた経緯がある。既に大宮台地では「加曽利B1式寿能系列」や「加曽利B1-2式馬場小室山系列」を定義してきたことは記憶に新しいところであろう。

・前回は印旛沼周辺における「加曽利B2式」の確立について、『日本先史土器図譜』の「分類の標準」を「加曾利B2式遠部系列」とし、類型構成の極めて強い位相については「安行1式」のような「土器型式」の安定性を見て取った場合における、「曽谷式」という不安定な「細分布系列」の状況を経ての安定性として着目してきた。

その結果、印旛沼周辺における「加曾利B2式遠部系列」の直前には、印旛沼の南には「加曾利B2式吉見台系列」が、北には「加曾利B2式西根系列」が展開し、両者の継起的な融合によって強力な位相が確立した。その中で「加曽利B1-2式中妻系列」に着目し、「加曽利B2式」への変遷には「半精製土器様式」への転換が大きな文化史的な出来事であったことを提示した。これがかつて「大森1式」を「加曽利B2式」に編入した際の東部関東における連動現象である。

   ・今回は大宮台地を中心とした「大森1式」にどのような現象が認められるか、群馬県も射程に入れた研究成果を開陳し、「加曽利B1-2式馬場小室山系列」の意義を確認する。

   以 上

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