2005−9−10(土) 於:プラザ・イースト

参加各位                                            「馬場小室山遺跡研究会」事務局

馬場小室山遺跡研究会」第14回ワークショップ

(馬場小室山遺跡における「環堤土塚」の成立と展開を理解するために)

1.はじめに−人類史としての「見沼文化」(5):【地域研究の目的と見通し】−

 

(1)人類史としての「見沼文化」の提唱

奥東京湾というと同じ様な自然環境と考えられがちであるが、「見沼低地」は大きな河川によって開析されている荒川低地や中川低地とは根本的に異なることが、人類史としての展開を比較することにより鮮明に浮かび上がり、地域研究のあるべき姿を土地活用面から再確認することが出来る。

長期にわたる縄文時代の集落展開の特徴をパタン化し、「縦横遺蹟群研究」を確立するのみならず、特に縄文時代以降の弥生時代と古墳時代では、どうして縄文時代後晩期のような長期継続型の大遺跡が形成されないのか、特に前期古墳の形成を支える新たな集落が何故進出しないのか、自然環境の変動と適用に加えて、時代を画する社会変動との関係にも「見沼文化」として特性があることを明らかにする。

 

(2)縄文時代中期と後晩期における地域社会研究への新たなる射程

縄文時代中期の集落論はジャスト・モーメントを求める輪切りの集落論に特徴があり、馬場小室山遺跡における適用を試み、課題を明らかにする。一方で輪切りの集落論では接近不能な、縄文時代後晩期遺跡群の地域社会研究は、低地遺跡を含めた「場」の機能分散を射程にいれた遺跡間関係の統合のみならず、海退後の内水面交通網を背景とした遠隔地との緊密なネットワーク関係が鍵になっていることを明らかにする。

特に所謂「環状盛土遺構」と称されている集落現象にも伴存施設の構築に地域社会の特性が明確に反映されており、「見沼文化」とすべき特性も明らかにし得るであろう。

 

(3)考古学におけるマネジメント領域の確立と遺跡の保存・活用の意義

遺跡を評価するのはもはや考古学者だけではない。

埋蔵文化財の重要性を行政が上意下達で教えてきたこれまでの手法は破綻し、今後は知りたい市民への知的サポートが文化財保護行政の要となるのであり、少子高齢化社会においては、埋蔵文化財の保護と活用意識を促進させる市民サービスこそが、考古学の社会的役割を向上させる大きな鍵となっている。

パブリック・アーケオロジーは、21世紀の社会的要求に応える考古学のマネジメント領域である。

「見沼文化博物館構想」を含めた街づくりとしての遺跡の保存・活用こそが地域研究のあるべき姿であり、持続可能な社会を考古学からも提言しなければならないことの意義を明確にする。

 

2.馬場小室山遺跡を中核としたパブリック・アーケオロジー:「考古学実習入門」(10)

◎馬場小室山遺跡の未調査部分が造成工事によって破壊されたおりに救済・保護した土器群と、破壊された

折の「残存埋蔵文化財」が見沼田圃に投棄された「第2遺跡」の土器群について資料化を行います

■「注記」(馬場小室山遺跡の注記ルールは「小室山YYMMDD(例えば、2004年10月23日の保護・救済

資料は「小室山041023」)」、馬場小室山第2遺跡のルールは保護・救済日が工事の進捗と連動しておらず

無意味の為、「小室山第2」あるいは「オムロ山第2」と標記)は完了しました。

■収納しているビニール袋単位に「基礎的分類」(口縁部−胴部−底部)を行い、その結果の「記録」(ビニール

袋単位に1枚の集計票を作成)もEXCEL集計済み(第9回資料参照)!

ビニール袋単位の分類状況はエビデンスとして写真撮影しました。

■各袋は大きく馬場小室山遺跡と「第2遺跡」に区別した上で、それぞれに「土器の分類」を行い、「土器型式」

を確認します。

■「拓本採り」は「土器型式」の纏まり毎に行い、その特徴が掴みやすいように何度か同じ文様の拓本採りを経験

するようにしています。

★「拓本採り」は順調に進み、前回から未調査部分から工事造成中に救済・保護した土器も対象にしています。

また、「拓本採り」の済んだ土器の断面や底部の「実測」も開始しました。

尚、「加曽利B式」や「安行式」の勉強を行うには岩波文庫『大森貝塚』が便利なので、必携です。

◎最終的には報告書を作成する基本的な工程を実習として経験し、その一部は10/2の市民向け配布冊子

としたい。また、遺物は当日展示し、馬場小室山遺跡の「土器事典」として利用の便も図る予定。

以 上

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