2004年12月13日
日本考古学協会会長 → 埋蔵文化財保護対策委員会委員長 → 委員 各位
(写し)学術ボランティア各代表発起人 および ボランティアHP管理者
日本考古学協会会員 鈴木 正博
さいたま市議会における馬場小室山遺跡の保存の件(速報)
本日(12/13(月))、さいたま市議会の平成16年度12月定例会一般質問があり、「残存埋蔵文化財問題」を含めて対応頂いている岡まち子市議(自治ネットワーク)、及び昨年の地域住民による保全運動の時点から問題提起していた鳥海(とりうみ)敏行市議(日本共産党)の両者から、続けて掲記の件につき共通した質問があり、馬場小室山遺跡の重要性が徐々に認識されつつありますので、教育長の回答を含め、下記の通り、概要を速報します。
− 記 −
1.鳥海(とりうみ)敏行市議の質問(馬場小室山遺跡に限定)と教育長の回答
(1)今回調査した馬場小室山遺跡についての教育長の所見は?
【教育長回答】 住居、土坑、盛土遺構の調査は完了したと聞いている。
他の遺跡の調査同様、大きな成果があった。
<鈴木コメント>★これでは後述のように何故馬場小室山遺跡を史跡として検討するのか不明! 姑息な回答。
(2)市有地については史跡として活用するため、教育委員会から文化財保護審議会に対して保存を諮問して頂きたい。
【教育長回答】 今回の調査成果を受け、文化財審議会の答申を受け、市指定史跡とする方向で検討中。
<鈴木コメント>★ならば、(1)を受けて同様に他の遺跡も史跡として検討すべきである! 何故馬場小室山か?
(3)既に調査された部分の結果を全国的に公開すべきとの要望についてはどのように考えているか?
【教育長回答】 成果についてはDOM(大宮駅前)で最新出土品展(1週間)を実施した。
調査結果についてはさいたま市遺跡調査会が報告書を発行し、国会図書館や関係機関に配布され、
一般の閲覧に供される予定。
<鈴木コメント>★情報公開の視点では、現地説明会における訴求性を市民へ提供すべきとの常識は、全く念頭に無い非常識な回答に唖然! 調査そのものを市民向けにサービスするのが常識である。
2.岡まち子市議の質問(馬場小室山遺跡に限定)と教育長の回答
(1)馬場小室山遺跡の評価、発掘調査の成果、および現状についての説明を求める。
【教育長回答】 約4万平米にわたる縄文中期から後晩期にかけての遺跡で、昭和44年から32回調査し、土器・石器・土偶・耳飾などが多数出土しており、重要な遺跡の一つである。
<鈴木コメント>★現状は調査期間が終了しただけで、調査は未了。「残存埋蔵文化財」が危機に瀕している!
(2)馬場小室山遺跡を市指定史跡とし、市有地は市民公開の場(説明板や遺構・土器パネル展示)として活用すべき。
【教育長回答】 集落や遺構の広がりが見受けられるため、史跡化を検討している。
<鈴木コメント>★既に1983年には今回の調査区も含め、ほぼ「環状盛土遺構」の全域が確認調査されており、旧浦和市の調査成果を無視した見解である。2003年の競売時に対応すべきであった。
(3)史跡とするに当たり、その活用には市民とのコラボレーションを重視し、街づくりに寄与するようにしては?
【教育長回答】 管理については保安を含めていろいろな問題もあるので、今後研究・検討していく。
<鈴木コメント>★馬場小室山遺跡の問題は一人考古学の立場のみならず、歴史的経緯も含め、地域に根ざした特有の里山としての意義があり、多くの専門性を動員してより効果的な活用が望まれる。
以 上
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