【さいたま市議会 2004.12.13(月) : 平成16年12月定例会】 本会議 市政に対する一般質問 <鳥海敏行市議>

鳥海敏行議員

 38番、日本共産党の鳥海敏行でございます。発言通告に従い、一般質問を行います。

(中略)

 次に、埋蔵文化財保護行政について質問いたします。
 平成10年9月29日付けの、当時の文化庁による各都道府県教育委員会教育長あての「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について」の通達では、埋蔵文化財の保護の基本的な考え方として、埋蔵文化財は、国民共通の財産であると同時に、それぞれの地域の歴史と文化に根ざした歴史的遺産であり、その地域の歴史、文化環境を形づくる重要な要素であることから、基本的には各地域で保存、活用、その他の措置を講ずるという理念に基づき諸施策を進めることとして、条例による史跡指定の推進、埋蔵文化財保護に係る体制の整備、充実、発掘調査体制や方法の改善等に積極的に取り組むこととしています。
 そこで、遺跡保存に当たっての行政の責任と意義について、まず見解をお伺いいたします。
 次に、緑区の馬場小室山遺跡について、お尋ねをいたします。
 いわゆる馬場小室山遺跡は、三室中学校南側から東側にかけて200メートル四方にわたって広がる遺跡群で、これまでに埼玉県有形文化財に指定された人面画土器や土偶装飾土器などが出土し、出土品の豊富さや保存状態のよさなどから、縄文文化の正倉院とも言われている遺跡群であります。この遺跡群については、昭和44年以来、実に32次にわたる調査が行われており、専門家の間でも、埼玉県を代表し、全国的にも大変貴重な遺跡だとの評価もある遺跡群であります。
 ところが、このほど、三室中学校の南側約8,200平方メートルに広がる遺跡が消滅の危機にさらされているとして、平成15年以来、地元住民約5,500名の保存を求める署名が提出されていましたが、残念ながら、民間開発会社による約3,000平方メートルの開発による単なる記録保存調査のみで、貴重な遺跡の半分が失われました。今回、記録保存されたとする遺構は、縄文中期から晩期にかけての多層位住居累積盛土遺構、さらに、多埋設土器群大土坑がセットで発見されたもので、かねてから予想されていた遺跡で、国の史跡級の遺跡だとして、日本考古学界埋蔵文化財保護対策委員会委員長の近藤英夫先生をはじめ、日本考古学界協会会員の鈴木正博先生などから、さいたま市に対して保存へ向けての要望書が数度にわたって提出されています。
 そこで、質問の第1番目ですが、このような重要な遺跡が私たちさいたま市で発見されたことは、さいたま市にとっても、市民にとっても、大きな誇りとすべき発見だと考えますが、教育長の所見を伺います。
 次に、開発地域の東側約4,000平方メートルはさいたま市の所有になっています。今回の調査で、予想どおり貴重な遺跡群であることが証明されたわけでありますから、これ以上掘り返す必要はないと思います。里山としての緑を残しながら、さいたま市の史跡として保存することが求められております。できれば、見沼の遊歩道のコースに加え、歩行者がだれでも遺跡を見学できる史跡公園に指定したらどうかと考えます。教育委員会から文化財保護審議会に対して保存を諮問していただきたいと考えますが、教育長の見解を伺います。
 第3に、既に調査された部分の結果を全国的に公開するべきとの要望がありますけれども、どのようにお考えか見解を伺います。
 最初の質問を終わります。 (拍手起こる)

 


◯臼杵信裕教育長
(中略)
 3 埋蔵文化財保護行政、(1) 遺跡保存に当たっての行政の責任と意義について、お答えいたします。
 平成10年9月、文化庁次長通知「埋蔵文化財の保護と発掘調査の円滑化等について」の中で、先ほど御指摘がございましたが、基本的事項といたしまして、埋蔵文化財は国民共通の財産であり、地域の歴史と文化に根ざした歴史的遺産であり、地域の歴史、文化環境形づくる重要な要素であるため、基本的に各地域で保存、活用などの措置を講ずる、このように示されております。教育委員会といたしましては、今後とも、この通知に示された理念と意義に基づき、埋蔵文化財行政を進めてまいります。
 また、馬場小室山遺跡において、さいたま市遺跡調査会が実施した発掘調査では、住居跡、土坑、盛り土遺構の調査を完了したとの報告を受けておりますが、さいたま市域で行われているほかのさまざまな時代を解明する発掘調査と同様に、大きな成果を上げたものととらえております。
 次に、(2) 馬場小室山遺跡保存についてですが、東側に隣接する市有地の扱いにつきましては、今回の発掘調査の成果を受け、関係部課並びにさいたま市文化財保護審議会の意見等も踏まえ、さいたま市指定の史跡とする方向で検討しております。

(中略)

◯臼杵信裕教育長

 3 埋蔵文化財保護行政についての答弁もれがございましたので、改めて答弁をさせていただきます。
 発掘調査の成果等につきましては、既に10月より、大宮駅前のショッピングセンター等で「最新出土展」として公開したところです。また、調査結果につきましては、引き続き、さいたま市遺跡調査会が報告書を刊行し、国立国会図書館をはじめ、市立図書館等に配布され、広く一般に公開して学術研究等に供されると伺っております。


 

◯鳥海敏行議員

 何点か再質問いたします。

(中略)

それから、埋蔵文化財の関係では、さいたま市の史跡とする方向で検討されるという御答弁をいただきました。ぜひこの方向で進んでいただくようお願いをして、再質問を終わりにします。

 

出典 さいたま市議会会議録 2004.12.13 : 平成16年12月定例会

 ※批判のためここに引用する。なお便宜上、マーク、太字、リンク等を加えた。
 上記の質疑にいたるまでのおよそ一年の間、何が起き、何が行われなかったか、ばんばおむろ山これまでの出来事(詳細)等にまとめられている。

 この質疑応答の概要および問題点は、鈴木氏提供の速報 および朝日新聞朝刊・さいたま版2004年12月14日 「馬場小室山遺跡 市有地分を市史跡指定へ」を参照されたい。

 

岡議員の質疑

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