200430

さいたま市教育委員会 文化財保護課 課長 様

(ご参考)さいたま市市議会 議員 高柳 としや 様

日本考古学協会会員  鈴木 正博

馬場小室山遺跡の発掘調査終了の件(研究者ボランティア結果の概要)

   馬場小室山遺跡の調査体制適正化に対応するため、9/16にご理解頂きました要望書に基づき、

9/17から9/17付文書の研究者ボランティア体制を確立し、最終的には貴長がさいたま市遺跡調査

会に終了を指示した9/30まで、馬場小室山遺跡の発掘調査を適正化し、かつ効率化するための支援を継続しました。

  馬場小室山遺跡の重要性は、遺跡を離れても活用が期待される遺物以上に、9/16にご説明しましたように、そして研究者ボランティア期間で明らかになりましたように、現地でしか見学できない不動産としての、

1.縄文時代中期集落を基盤とした後晩期「多層位住居累積盛土遺構」

2.縄文時代晩期の「多埋設土器群大土坑」

の2点がセットになる本邦初の重要な発見にあり、このような現地における重要発見の情報公開について

は、政令指定都市としては極めて残念な結果となり、今後に大きな課題を残しました。

また、私共が提案しご理解頂きました研究者ボランティアにつきましては、馬場小室山遺跡調査に

とってのみではなく、日本先史考古学にとって、学術的にも調査スキル的にも最良・最適・最善の体制

とすることができましたが、馬場小室山遺跡が一般遺跡とは異質な複雑性を有していることも判明し、

改めてその文化遺産的価値を認識した次第です。

  その結果、貴長がさいたま市遺跡調査会に対して終了を指示した9/30時点では、雨天の悪条件も

重なり、残念ながら調査完了には至らず、最低でも2割ほどの調査未了あるいは不十分な結果となりました。

  9/17以降、さいたま市教育委員会・さいたま市遺跡調査会と一体となったプロジェクト運営を

推進している中で、研究者ボランティアが調査担当しました部分も含め、未調査部分が多く顕在化した点

につきましては、雨天の中でも関係各位が鋭意努力した結果にも拘らず、不本意な結果になった点に責任

の一端を禁じえませんし、その責任につきましては重々承知している次第です。

先ず、この点の反省も踏まえ、改めて外部から客観的に見た9/30時点の下記の状況(概要)と今後の対策(要望)をご認識・ご賢察頂き、今後の埋蔵文化財保護対策のご参考に供したく。 

− 記 −

 1.9/30時点の発掘調査の進捗(概要)

   1−1.調査対象体積に対する割合:約80% (9/15時点では約60%)

   1−2.調査精度:9/26からの雨天以降悪化し、9/27に日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会

                が廃土における調査の粗さを指摘。 更には遺物の取り上げ際に層位の記載が抜ける

など、調査マネジメントにおける記録情報管理の安全対策などに不備が露呈。

 2.今後の対策(要望)

   2−1.方針: 9/16付回答文書による「更なる慎重な調査」「遺漏の無い調査を実施」について

さいたま市遺跡調査会と一体となり、フォロー可能な進捗管理を徹底し、調査マネジメ

ントに問題が発生した場合、担当者の立場を超えた組織力を発揮して問題解決を図る

  2−2.調査マネジメントにおける高度化・効率化の推進及び調査体制の強化

       (1)見積もり精度の向上とリスクマネジメントの確立

(2)調査体制の適正化(外部監査などによる指導の徹底)

         (3)現場管理の適正化(労働安全衛生法の遵守など)

         (4)発掘情報管理の徹底(記録の品質管理や調査精度の維持管理など)

         (5)雨天対策等生産性向上施策の推進

                                          以 上

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