2004年10月 7日 さいたま市議会 議員 高柳 としや 様 さいたま市教育委員会 文化財保護課 課長 様 日本考古学協会会員 鈴木 正博 馬場小室山遺跡緊急発掘調査の課題(研究者ボランティア報告)と今後の対応(要望書) 1.馬場小室山遺跡緊急発掘調査にかかわる対応と課題(研究者ボランティア報告) 1−1.浦和市教育委員会の市民向け保存努力と合併後のさいたま市教育委員会による発掘への対応(情報公開版) (1)『浦和市歴史文化叢書F 馬場小室山遺跡』刊行(1984.3.31):遺跡の保存を市民へ提唱!! 著者:青木 義脩・小倉 均・中村 誠二/発行所:浦和市郷土文化会(浦和市教育委員会内) 発売元:(株)さきたま出版会/現在でも購入可(1冊525円) (2)『浦和市出土品百選』刊行(1994.10.1):百選のうち馬場小室山遺跡出土品は最多の11選を占め、浦和市教育委員会における文化財保護の立場から、馬場小室山遺跡の重要性は最優先の位置付け。 著者:教育委員会・浦和市遺跡調査会職員/発行者:浦和市教育委員会教育長 (3)馬場小室山遺跡の保存運動(2003.8・9):元地権者の保存意志と浦和市教育委員会の保存努力を継承し、競売の中止と保全を求める活動を地域住民が行い、三室地区住民を中とした約5,500人による署名を集め、財務省関東財務局とさいたま市に提出。この経緯は地域住民へのチラシで周知・徹底。これを受けたさいたま市文化財保護課の対応は、浦和市教育委員会のこれまでの情報公開を含む保存継続努力を否定したものと判断され、その理由を明確化する必要がある。 (4)東京新聞さいたま支局 磯谷佳宏記者による関係機関・関係者の取材(2004.9.30)と報道(10.1朝刊) 「縄文遺跡の調査“強制終了”」、「市教委「最低限は終えた」」、「考古学協会保存求める」 1−2.さいたま市遺跡調査会の「盛土遺構」発掘調査への対応 (1)「盛土遺構」の認識 : 主任調査員が南方遺跡の発掘報告書で既に注意を喚起しており、後晩期遺跡の調査では、高低差が少なくとも「盛土遺構」の存在は確実であり、精査の必要性を強調。 (2)馬場小室山遺跡発掘調査方法の検討と実施状況 : 馬場小室山遺跡は可視的に国指定史跡「井野長割遺跡」よりもダイナミックな「盛土遺構」に特徴があり、主任調査員も慎重に調査方法を検討。 ・6/25(金):明治大学考古学研究室(阿部芳郎助教授ほか)と現地での事前検討会 ・7/23(金):明治大学考古学研究室(阿部芳郎助教授ほか)と現地での状況検討会 ・7/30(金):国指定史跡「寺野東遺跡」発掘調査担当者(江原英ほか)と現地での状況検討会 以上の検討会を経て、主任調査員によって馬場小室山遺跡の緊急発掘調査方法応としては最善の努力が払われていることを確認。但し、遺構の密度と広がりに対して専任の調査員が不足。 ・9/30(木):期間終了まで文化財保護の倫理観・使命感に則り、最善の努力で発掘調査を遂行。 1−3.研究者ボランティアによる緊急支援、文化財保護課の対応、及び日本考古学協会からの要望書 (1)日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員の視察(9/8) ・9/8(水):早稲田大学考古学研究室(高橋龍三郎教授ほか)と保護対策の必要性検討。 (2)発掘調査体制適正化の検討と要望書など(【 】内ゴヂック体は要望書名など) ・9/15(水):明治大学考古学研究室と共に9/17の調査終了は不可能と判断し、急遽高柳議員 に来跡を請い、文化財保護課との交渉を決断。 ・9/16(木):【馬場小室山遺跡の調査に関する要望書】(2004-9-16):文化財保護課に対し、情報公開(研究者及びさいたま市民)と発掘調査体制の適正化を要望。 ・9/17(金):【馬場小室山遺跡の発掘調査に関する支援体制】(2004-9-17):支援体制具体化。 有識者へのボランティア支援メール送信、メール内容の文化財保護課へのFAX。 ・9/20(月):【馬場小室山遺跡の発掘調査支援結果報告と今後の対応(要望)】(2004-9-20): 再度現地説明会の実施と発掘調査の適正化を要望 ・9/30(木):【馬場小室山遺跡の発掘調査終了の件(研究者ボランティア結果の概要)】(2004-9-30) 調査の進捗と調査精度の報告、及び今後の対策の要望。 (3)日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会から要望書が発状(9/21) ・9/21(火):【馬場小室山遺跡の保存に関する要望書】(2004-9-21):文化庁長官、埼玉県知事、埼玉県教育委員長、さいたま市長、さいたま市教育委員長、さいたま市遺跡調査会長宛発状。 ・9/30(木):埋蔵文化財保護対策委員長の視察(9/29)結果による【馬場小室山遺跡に関するコメント】(2004-9-30)の発表(日本考古学協会のホームページで情報公開) (4)文化財保護課の対応 ・9/16(木):即時に調査体制の適正化(作業員の増強、文化財保護課職員(特に馬場小室山遺跡発掘調査経験者)の支援、研究者ボランティア支援の受け入れ、調査期間の9/22までの延長)を指導し、結果を文書にて回答。 ・9/23(木):調査体制適正化の継続を指導(9/30までの延長) (5)研究者ボランティア支援結果(【馬場小室山遺跡の発掘調査終了の件(研究者ボランティア結果の概要)】(2004-9-30)参照) 【専門家(大学、長野県・関東各県の周辺自治体専門職員(含課長補佐、係長)など)延べ180名支援】 ★埋蔵文化財担当(役職)者(複数)による発掘調査見積:50百万円(最低30百万円)半年 【特記すべき学術成果の概要】 ・縄文時代中期集落を基盤とした後晩期「多層位住居累積盛土遺構」の発見と証明(本邦初!) ・
縄文時代晩期の「多埋設土器群大土坑」の展開(指定文化財を検出した第51号土坑の群在を確認) 2.馬場小室山遺跡に対する今後の対応(要望書) 2−1.保存対策の徹底:日本考古学協会埋蔵文化財保護対策委員会会長コメントへの対応依頼 (1)会長コメント: 「調査成果をふまえ保存に向けての議論を深めることを重ねて強く要望いたします。」 (2)調査未了地区の保存: 調査区南端部「盛土遺構」(期間終了で打ち切ったため、調査未了)の現状保存 2−2.調査成果の早期公開と保全に向けての文化的遺産価値の情報公開 (1)発掘情報管理の徹底(記録の品質管理や調査精度の維持管理など) 「市教委「最低限」」を補うため、研究者ボランティア継続体制を確立 @研究者ボランティアによる早期の整理作業実施支援 「馬場小室山遺跡研究会」(時限研究会)の立ち上げによるボランティア活動の体制化 A文化財保護課及びさいたま市遺跡調査会による「馬場小室山遺跡研究会」への指導 第51号土坑発掘担当者の助言、及び今回の支援体制継続による効率化の推進 (2)学術成果の早期公開と「馬場小室山遺跡研究会」による支援活動 @日本考古学協会など主要学会への情報公開対応 ・2005年春の総会における研究発表の実施、及び『日本考古学』誌上における調査成果の発表 ・埼玉県考古学会発行の『埼玉考古』への写真を中心とした速報 A地域住民などへの理解し易く正確な情報公開対応 ・調査終了日となった9/30を「馬場小室山の日」として2005年の秋を目途に地域住民と一体となった情報公開の推進 |
馬場小室山遺跡緊急発掘調査の経緯と研究者ボランティア活動推移 ←重要な事実の記載あり
※原典はWORD文書。HPのサイズに合わせ若干体裁を整えた。まだ整っていないところがあるが、緊急事態ゆえ後日直すということでお許し願いたい。
「縄文遺跡の調査“強制終了”」 @東京新聞2004.10.1 |
「馬場小室山遺跡に関するコメント」 「馬場小室山遺跡の保存に関する要望について」 @日本考古学協会 |
馬場小室山遺跡の語るもの 速報:馬場小室山遺跡へ行ってきました @歴史に好奇心 さわらび通信 |
空撮 馬場小室山遺跡(1) (2) |
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