高品城址を歩く

北年貢道より高品城址を臨む（南側よりみた高品城） 　高品（たかしな）城は、千葉市若葉区高品町の台地ほぼ全体を城域とする連郭式、戦国最盛期の本格的な城郭です。写真、左上にわずかに頭が見えるマンションの建つ地点が主郭のあった場所です。写真中央の土色の見えるところが、外郭のひとつ（VIII郭）、字名小向です。広大な平坦部分をもつ特徴的な曲輪（くるわ）で、千葉と佐倉方面をむすぶ北年貢道（現、主要地方道千葉臼井印西線にほぼ該当）を眼前に見る場所に位置してます。開発が予定されており、一部破壊されましたが、今も周縁部に土塁が残っています。 　高品城は、千葉宗家の直臣、安藤氏が在番する城で、北年貢道を押さえ、北進してくる小弓公方・里見勢に備えるという重要な役割をはたしていました。佐倉に本拠を移した千葉宗家の代々の嫡男は、千葉神社（妙見宮）に詣でて元服することを伝統としていましたが、その折はこの高品城を定宿としていたといわれています。数百騎数千名の随兵は、この広大な空間をもつ小向の郭に駐屯したにちがいありません。 　戦国時代末期に成立した『千学集抜粋』は、永正２年（1505年）に行われた千葉昌胤の元服の儀の模様を次のように伝えています。高篠（たかしの）とは高品の古名です。 　永正二年乙丑十一月十五日、昌胤御元服につき 高篠より妙見宮へならせらる、鳥烏帽子 装束にて御参詣也、御先打ハ原孫七也、後 陣は幡谷加賀守也、二騎御供にて若侍廿 騎御供也、警固の人数、二百騎千葉まて、 五百騎警固ハ高篠迄也、住侍御使して、 中途まて出迎ふ、本庄図書助参申上様に、 拝顔のゝち木村出雲守と同心申也、高篠して 御字を三つ請取らせられ、宮前にて御くじを とり、御字を定めらる、出雲守請取りて、高篠 まゐらる、高篠より千葉まて警固の面々 生足也、馬上はたゝ三騎也、下部廿人、原 孫七高篠まてまゐられ、御対面有りて御酒 下さるゝ也、 　　　　　 　※参考 　外山信司「下総高品城と陸上交通」『千葉城郭研究』４号1996年27-46頁 　●　地図（マピオン）　 　●　年表--千葉荘寺山郷と中世の動乱

（舌田遺跡・小向の曲輪編：発展途上）